ForestBank|Material
ForestBank|Material
ForestBank™️は、製材された木材だけでなく森林そのものが持つ多様な価値に着目したマテリアルデザイン。
ForestBank™️は、森林をめぐる課題や可能性についてリサーチを行い、製材された木材だけでなく森林そのものが持つ多様な価値に着目し、それを表現するべく様々な実験を通して新たなマテリアルとして開発された。本来なら建築や家具用の木材資源として価値のない小径木や枝葉、樹皮、実、その森の土など樹木にまつわる様々な物を、反応性ミネラルベースと有機溶剤・VOCを一切使用しない完全水性アクリル樹脂と混ぜ合わせ製作している。
このマテリアルの模様は、本来の木目同様に切削の場所や深さによって違った表情が表れる面白さがあり、また製作する季節や土地、その時の森の環境及び状況などで、全く異なった表情が生まれる。黄色や青色などの特徴的な色は実際の樹種色であり、細菌によって着色された自然界の色彩である。緑色で混ぜ込まれた葉は季節が移り変わるようにやがて茶色に変化してゆく。また森の土も混合することで黒や茶色など着色も可能となり、本来見ることのない複雑な造形をしている木の根や木の実の断面、樹種による色の違いなど、あらためてその多様性に気付かされる。
普遍性を持つ素材である樹木(森林)の価値を新しい角度から捉え直すことで、まるで森林そのものを凝縮したような新しいマテリアルデザインとなった。出来上がったマテリアルは通常の木工加工が可能であり、家具やプロダクト・インテリアなど様々な分野に応用できる。また、森林素材だけでなく、例えば剪定された街路樹や公園、庭木、あるいは木工房から排出される端材などの木材を用いることでも、樹木の記憶としてその環境ならではのストーリー性があるオリジナルの木目模様が表れるだろう。
写真のForestBank™️は岐阜県飛騨市内の森林や家具工房から採取した木材を用いて製作した。
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Title : ForestBank™️
Concept : Material Design : Yuma Kano
Material : Wood waste, Soil, Acrylic resin(JESMONITE®︎)
Manufacturer : STUDIO YUMAKANO, Hidakuma inc.
Photography : Shot by Kusk