TOUCH WOOD at ALCOVA 2023
TOUCH WOOD at ALCOVA 2023
日本・東京を拠点にする狩野佑真とオランダ・アイントホーフェンを拠点とする太田翔による2人展「TOUCH WOOD」
狩野は森林や林業をめぐる課題や可能性についてリサーチを行い、製材された木材だけでなく森林そのものが持つ多様な価値に着目し、本来なら建築や家具用の木材資源として価値のない小径木や枝葉、樹皮、実、その森の土など樹木にまつわる様々な物を、反応性ミネラルベースと有機溶剤・VOCを一切使用しない完全水性アクリル樹脂と混ぜ合わせ、それらを削り出して製作する新たなマテリアル「ForestBank」を開発した。
太田は彫刻作業で家具としての用途や存在をオブジェから削り出す「Surfaced」、木材の深部を掘り起こし、節や木目の存在をあらわにして木が本来もつ魅力を引き出す「According to the Grain」シリーズなどを手掛ける。今回はオランダ国内の家具工場や工房の協力を得て廃棄木材を使用して「Surfaced」を制作した。
デザイナーとして互いに「木」という素材に向き合ってきた2人に共通するデザイン手法は「木を集めて削る」。本展では、手を動かし製作することで生まれるマスプロダクションではできない表現を追及し、2人が対話するように互いの表現手法が混ざり合った新作も発表する。
展示タイトルである「TOUCH WOOD」は、木に精霊が宿っていると考えられたことから「木に触る事で幸運をもらったり、厄を遠ざける」というおまじないの言葉として欧米で広く使われており、「木」の表情を読み取り手作業で作品を生み出す2人にとって相応しい言葉として、展示タイトルに引用している。
Exhibitor: Yuma Kano, Sho Ota
Exhibition Date: 17 April – 23 April 2023
Venue: ALCOVA
Photo: Yuta Sawamura