総合建設会社である淺沼組の築30年になる名古屋支店がGOOD CYCLE BUILIDINGとしてリノベーションされた。STUDIO YUMAKANOはオリジナルマテリアルである「ForestBank™️」を用いて、飛騨の森林素材＋奈良の吉野杉＋建設現場廃棄建材＋家具工房端材をミックスさせ、このプロジェクトのためのオリジナルマテリアルでテーブルトップをデザイン・製作した。
GOOD CYCLE BUILIDING自体が「自然循環：ReQuality」をコンセプトに空間及びプロジェクト全体が設計されていることから、マテリアルデザインにおいてもこのコンセプトに従い、従来の建設現場では廃棄物となる素材を救い上げ、アップサイクルする試みを実践した。
建物ファサードに取り付けられた樹齢130年の吉野杉丸太の伐採現場に実際に赴き、そこに残されていた枝葉や樹皮・根・土など採取し、また、内外装に用いられた建設資材の端材や土壁の残土、家具を製作した工房の端材までも、このプロジェクトの木のまつわる自然素材の全てのエレメントをマテリアルに混ぜ込んだ。こうして製作されたForestBankはこのプロジェクトでしか表れない完全オリジナルの模様となり、デザインプロセス含め非常にストーリー性のあるコンセプチュアルなマテリアルデザインとなった。
時が経ち、メンテナンスの際に表面を2mm切削するだけで、全く違った模様が表れる。マテリアルの背景を使い手が理解し愛着を持つことで、建設時の記憶を呼び覚ますような、”素材"だけでなく”記憶"までもが貯蔵されている。